next up previous
: 交流回路 : 解析の手順 : 解析の手順

直流回路

まず, 図1(a) の回路の動作解析を行う場合について説明します。 次の手順に従って, ソースファイル(回路の情報が書かれたファイル)を作成し, 解析を行ってみてください。

  1. 回路図内の節点(ノード)に番号をふります。(節点とは, 電気電子素子(部品)の足と足の接合点のことで, プリント基板上では, 同一のランドやジャンパー線でつながっている場所のことを指します。図1には節点を●で示してあります3。) このときに, 「グランドは「0」をあてること」, 「各節点番号は重複しないこと」, 「回路は必ず閉じたループになっていること」という制約がありますので, 注意が必要です。

  2. 1(b)に書かれたソースファイルを作成します。
    「mule」などを使って同図(b)を入力し, 何か名前(ファイルネーム)を付けて(例えば, 「dc.cir」という名前で)保存して下さい。

    ここで, 各行の意味は次の通りです。1行目は, コメント行といってあなたのメモに使って下さい。(SPICEの動作には全く影響を与えません。また, 1行目以降の行でも, 行の先頭に「*」が書かれていればコメント行となります。)

    1. 2行目は, 電圧源(Vcc)が節点1と2に接続されていて, 直流の10Vであることを示しています。(最初の「V」が電圧源であることを示しています。「cc」は名前で, 他の電圧源と重複しなければ, どんな名前でも良いです。)

    2. 3行目は, 抵抗(R1)が節点1と2に接続されていて, 10k$\Omega$であることを示しています。(最初の「R」が抵抗であることを示しています。1は名前で, 他の抵抗値と重複しなければ, どんな名前でも良いです。)
    3. 5行目は, この回路の詳細な直流動作を求めることを命令してます。
    4. 6行目は, ソースファイルの終了を示しています。
    なお, 「1行目がコメント行」であり, 「.END が最終行」であること以外, 行の順番に関する制約はありません。

    図 1: 直流回路; (a)回路図, (b)ソースファイル
    (a)
    \includegraphics [height=4cm,clip]{dc.eps}
    (b)    
    
    	* DC  R  circuit
    	Vcc 1 0  DC 10V
    	R1 	1 2  10k
    	R2 	2 0  500
    	.OP
    	.END
    

  3. spice3を立ち上げる。
    kterm上で,
    \fbox {\ttfamily > spice3 dc.cir}
    と入力してください。
    \fbox {\ttfamily Spice 1 -$>$\ }
    という表示がでます。ここで, 画面にあらわれた「 Spice 1 $->$は, SPICEが立ち上がっており, SPICEはコンソール画面であなたの命令を待っています。したがって「 Spice $->$」がでている間は, UNIXコマンドは実行できませんので, ご注意下さい。

  4. 解析させる。
    \fbox {\ttfamily Spice 1 -$>$\ run }
    と入力しましょう。すると, spiceは「dc.cir」の解析を始め, それが終ると
    \fbox {\ttfamily Spice 2 -$>$\ }
    となります。

  5. 結果を表示させる。
    \fbox {\ttfamily Spice 2 -$>$\ show all}
    と入力すると, 次の表示がでます。

    
     Resistor: Simple linear resistor
     device           r2        r1
     model             R         R
    resistance       500     1e+04
             i  0.000952  0.000952
             p  0.000454   0.00907
    
     Vsource: Independent voltage source
     device            v
            dc        10
         acmag         0
             i -0.000952
             p   0.00952
    
    Spice 3 ->
    

    これらは各素子(device)が抵抗model=Rであり, その抵抗値(resistance), 電流値(i), 消費電力(p)を示し, さらに電源の電圧(dc), 電流(i), 消費電力(p)を示しています。電源の電流がマイナスになっているのは, 電源内部でマイナス極(節点0)からプラス極(節点1)に向けて電流が流れているためです。

    次に,
    \fbox {
\ttfamily Spice 3 -$>$\ print all
}
    と入力すると, 各部の電圧がプリントされます。もちろん節点1の電圧のみを知りたければ,
    \fbox {\ttfamily
Spice 4 -$>$\ print v(1)
}
    などと, 入力して下さい。ただしこのときの「v」は必ず小文字を使用して下さい。(ソースファイルでは, 大文字, 小文字のどちらでもかまいません。)また, 節点1と節点2の間の電位差が知りたければ,
    \fbox {\ttfamily Spice 5 -$>$\ print v(1,2)
}
    あるいは
    \fbox {\ttfamily Spice 6 -$>$\ print v(1)-v(2)}
    を入力して下さい。

  6. SPICEを終了させる。 一つの回路(ソースファイル)の解析が終ったら,
    \fbox {\ttfamily Spice 7 -$>$\ quit}
    として下さい。spiceが終了し, UNIXコマンドを受けつける状態に戻っています。

念のためSPICEで作業した時のスクリーンショットの例を図2に示しておきますので, ご自分の画面と比較してみてください。

図 2: SPICEを実行した例

\includegraphics [height=10cm,clip]{scr.eps}


next up previous
: 交流回路 : 解析の手順 : 解析の手順
Yamamoto Ken-ichi 平成14年7月10日