|HOMEへ||BACK|

LaTeXの概要

LaTeXをとりあえず使ってみたいという方のために書かれています. ここでは, LaTeXの基本的な使い方のごく一部を紹介します. もっと詳しく知りたい方は参考書を あたってみてください.


手順 with YaTeX

基本的な流れは次のようになります.

  1. sample1.texのようにemacsをつかって 打ち込む(ダウンロードしてもいいですよ).
  2. コンパイルする(dviファイルを作成する).
  3. dviファイルを見る.
  4. 印刷.
YaTeX(やてふ)のemacs上でのキーバインドは次のとおりです.
キー操作 動作
Ctrl-c t j platex起動(コンパイル)
Ctrl-c t r 領域を指定してコンパイル
Ctrl-c t k 動作中のコンパイルを中止
Ctrl-c t p プレビューア(xdvi)起動
Ctrl-c ' エラー行へジャンプ
Ctrl-c t l lprコマンド起動(プリントアウト)
具体的な使い方を順に説明していきます.

入力から印刷まで

  1. kterm上で, 「emacs sample1.tex &」と入力する.
  2. 本文をひたすら打ち込む.
  3. ファイルをセーブする (「Ctrl-x Ctrl-s」とキー入力する).
  4. emacsがYaTeX(やてふ)モードになっている(emacsの下部に注目!)ことを確認する (YaTeXモードになっていない場合, emacs上で「Alt-x yatex-mode」と入力します). 「Ctrl-c t j」と入力します. する と, コンパイルが始まります. 間違いなく入力できていれば, そのまま 終了します. エラーがあった場合には, 一旦コンパイルを中止します「Ctrl-c t k
    そして, 「Ctrl-c '」でエラーメッセージを表示させます.
  5. エラーを修正して再度, コンパイル実行.
  6. 無事にコンパイルが終了したら, 「Ctrl-c t p」と入力します. するとxdviが立上ります.
  7. 印刷するときには, xdviを終了してから, emacs上で「Ctrl-c t l
どうですか? うまくいきましたか? 始めのうちは失敗の連続だと思いますが, すぐに慣れますので心配はいりません.
出力例

図1 sample1.texの出力

2. 使用したソースファイルの説明

次にsample1.texの中で使ったコマンドを説明します. ソースファイルをemacs上で見ながら, 以下の説明を読んでみてください.
  1. \documentclass[a4paper,12pt]{jarticle}: a4paperは紙の大きさ. 12ptは文字の大きさで, 他に 10pt, 11ptが指定できる. jarticle は日本語を入力する文書クラスファイル. 他にjbook(本),jreport(報告書),slides,(スライド) などがある.
  2. \textheight : 本文の高さ.
  3. \textwidth : 本文の幅.
  4. \topmargin : 上端のマージン(基準線から).
  5. \oddsidemargin : 左端のマージン(基準線から).
  6. \usepackage : 用いるpackage fileを指定する.
  7. %」から後の文字はコメントとして無視される.
  8. \title : 表題を書く. (なくてもよい. )
  9. \author : 著者を書く. (なくてもよい. )
  10. \date : 日付を書く. (なくてもよい. )
  11. \begin{document} : ここから本文が始まる. \end{document}までが本文となる.
  12. \maketitle : \title, \author, \date が記入される. (なくてもよい. )
  13. \section{ほにゃら} : 節
  14. \subsection{ホニャラ} : 小節
  15. 空白行 : 段落の終り.
  16. \\ : 強制改行.
  17. エディタ上での改行は2行続かない限りコンパイル時には無視されます.
  18. \begin{itemize} : 箇条書のはじまり. \itemが個々の項目に対応する. \end{itemize}で終り.
  19. \setlength{\itemsep}{-1 ex plus 0.1 ex minus 0.1 ex} : 箇条書の行間スペースを調整している. 詳細は略す.

表の作成

1.表作成の例

表はtable.tex (保存もでき ます) のように打ち込み, コンパイルするとできます. すると図2のような表ができます. ここで, 表の説明も同時に入力できますし, 表番号は自動で入り, また本文中に自動的に参照(reference)されることにも注目してください. ただしこのときに2回コンパイルが必要ですので, 注意してください.

2.プログラムの説明

  1. \begin{table} : 表の始まりの宣言. 表は, ここ から\end{table}まで.
  2. \caption{なんとか} : 表の説明
  3. \label{かんとか} : 表を指す名前. 本文中で\ref{かんとか}と書くと表の番号が自動的にでてくる.
  4. \begin{tabular}{|c|rcl|l|} : 表の体裁を書く. 「c」は真中(center),「l」は左端, 「r」は右端を示す. そして「|」は 縦線を表す. これらのことは, プログラムと実物を比較してみてください. (\end{tabular}まで)
  5. \\ \hline : 改行と横線を表す.
  6. 表の各項目は「&」で区切られる.
表の例

図2 table.texの出力

図の取り込み

1.図の取り込み例

図はfigure.tex (保存もで きる) のように打ち込み, コンパイルするとできます. 図3のような表ができます. ここで, 図の説明も同時に入力できます. 表番号は自動で入り, また本文中に自動的に参照(reference)されます. ただしこのときに2回コンパイルが必要ですので, 注意してください.

2.プログラムの説明

  1. \usepackage[xdvi]{graphicx} : 図を挿入するために"grahicx.sty"を使用することを宣言. これはプリアンブル(\begin{document}の前)に書くこと.
  2. \begin{figure} : 図の始まりの宣言. 図は, ここから\end{figure}まで.
  3. \includegraphics[clip,width=50mm] : 図を挿入せよとのコマンド. 「width」は幅を指定する. 高さの場合には「height」となる. 「clip」は無条件でつけた方が良い.
  4. \caption{なんとか} : 図の説明
  5. \label{かんとか} : 図を指す名前. 本文中で\ref{かんとか}と書くと図の番号が自動的にでてくる.
  6. \begin{center} : 中心に図(文)が置かれる (センタリングされる). (\end{center}まで)
図の取り込み例

図3 figure.texの出力

数式

数式を入力

math.tex(ダウンロードもでき ます)を入力してコンパイル. 図4のように出力されます.

ソースファイルの説明

  1. $f(x)$ : $$との間にはさまれた場所が数式(文書モード)になります.
  2. 数式では基本的に斜体文字です.
  3. \begin{equation} : 数式モードの始まり. (\end{equation}まで. )
  4. \sum : Σを出力せよ.
  5. \limits_{l=0}^{\infty} : Σの範囲の設定. 出力参照のこと.
  6. \int : 積分記号を出力せよ.
  7. \nolimits_{1}^{-1} : 範囲の設定. 出力参照のこと.
  8. \frac{A}{B} : 分数 "A/B".
  9. \cos : cos の出力. (斜体でないことに注意!)
  10. \theta : ギリシャ文字の出力もできる.
  11. ^ : 上付き文字(なんとか乗). 下付きは「_」.
  12. \begin{eqnarray} : 数式の表形式の出力. &で区切られ, &と&で囲まれた文字の位置がそろ う. (\end{eqnarray}まで)
  13. \label{なんとか} : 図や表と同様に数式番号が\ref{なんとか}で自動的に参照される.
数式の出力例

図4 math.texの出力

ギリシア文字, 数学記号

ギリシア文字は数式モードで使う($$とで挟む). 大文字は$\Alpha$のように一文字 目を大文字にする.
α\alpha β\beta γ\gamma δ\delta ε\epsilon \verepsilon ζ\zeta η\eta θ\theta \vartheta ι\iota κ\kappa
λ\lambda μ\mu ν\nu ξ\xi οo π\pi ρ\rho σ\sigma τ\tau ε\upsilon
φ\phi \varphi χ\chi ψ\psi ω\omega γ\gamma

次の記号の一部を利用するには, プリアンブル(\documentclass と \begin{document}との間)に, \usepackage{amssymb}を書いておくこと.
\infty ± \pm ×\times ÷\div \not= \leqq \geqq °^\circ \partial \nabla \equiv \fallingdoteq \ll \gg

Windowsにインストールするひとのために

MS-Windows でもLaTeXは使うことができます. インストールは, 次の方法のいずれかで行うことができます. LaTeXのインストール手順には次のサイトが参考になります.

図(epsファイル)の作り方

TeX文章への図の貼込みにおいて, 図はepsファイルである必要があります. epsファイルの作成方法には, いくつかあります. 以下に3つほど紹介しますので, 場合によって使い分けて下さい.

pdfファイルの作り方

dviファイルをつくっておいて, kterm上で次のように打ち込む. すると, pdfファイルが作成されます.
> dvipdfmx hoge.dvi
> ls
    hoge.dvi     hoge.pdf   
>

参考図書

  1. 海上忍, 黒川弘章: これだけでできるLaTeX実践活用ガイド, 技術評論社(2000).
  2. 生田誠三: LaTeX2e入門, 朝倉書店(2003).
  3. 生田誠三: LaTeX2e文典, 朝倉書店(2000).
  4. 奥村晴彦: 改訂第3版 LaTeX2e美文書作成入門, 技術評論社(1997).
  5. M.Boossens他: The LaTeXコンパニオン, ASCII.
  6. 大友:LaTeX組版ハンドブック

|HOMEへ||BACK|
Ken-ichi Yamamoto
e-mail:yamamoto@eee.u-ryukyu.ac.jp